森美術館ビル・ヴィオラ『はつゆめ』

先生と合流して、森ビルのビル・ヴィオラ展へ。
県美に来るらしいが、これはヒルズのバブリーな感じと妙にマッチして、おもしろかった。お客のイリもそこそこで、皆、神妙な顔をして見入っている。というのも、ビデオは一貫してスローモーションだからだ。これは、何気ない動作を大げさに、大げさな動作を何気なく、いわば中和して、動作の細部を浮かび上がらせてくる。加えて、何かしらオチやズレが用意してあって、これらの要素が、見るものを期待、心待ちにさせるような仕掛けとして働く。
面白かったのは、<オブザーヴァンス/見つめる>。列をなして順繰りに回ってくる人たちが見る者と対面して、見たこともない程のなんとも悲壮な顔を投げかけてくる。といっても、斜め下を見つめる眼差しは、我々の足元にその対象を指定する。また、どこから見てもその眼差しと目を合わせることはできない。なんとしてでも僕を見て、あの顔をして欲しかったのだが。
つまり、美術館という展示空間へと作品がはみ出してきた。こちらの世界にも、あちらの世界にも到着しない眼差しが、何か奇妙な空間を作り上げる。前方に向かって歩いてきたビル・ヴィオラが、思った以上に(等身大以上に)大きくなるまで接近してくる作品にも同じことが言える。換言すれば、展示空間をも作品に内包してしまう作品。
しかし、あの美術館は、周囲の雰囲気が会場内部の作品にまで影響を与える美術館だと思う。



25時の歌舞伎町を見物しながら徘徊。
渋谷の満喫で、ジョジョを読みながら眠る。