待ってるあいだに読んだ論文。Spectacular Realities: Early Mass Culture in Fin-De-Siecle Paris

著者はベルエポックと呼ばれる時代のフランスをFin-de-siecleと捉えなおし、そこで生まれた「大衆のための」文化=視覚文化―パノラマ・ジオラマ・蝋人形・モルグ―を検討する。スペクタクルとして消費社会を批判する*1のではなく、それぞれのメディアの特異性を浮かび上がらせることで、再現=表象の諸実践としてのモダニティ、そこで現実と再現=表象が重なり合う様子を見ていく。

スペクタクルの社会フーコーを参照しながら、筆者は当時の社会に生まれた「群衆」に、都市的な共同体をアイデンティティとする集団というネガティブな含意をみる。だがそこでは―とりわけ、イメージが氾濫する世紀末のパリにおいては―「見られ得る」というパノプティコン的モデルと同時に、露出症的に「見せる」というベクトル(『博物館の誕生』?)が並存していた。
一章が、その基盤となる大通り文化boulevard cultureと新聞mass pressに充てられている。
日常のセンセーショナル化、連載小説、三面記事、インタヴュー形式・・・

*1:ドゥボールなんかを引くときにconsumalismと書いているのだが、英語でコンシューマリズム=消費社会批判でいいのだろうか