Between seeing and believing -Jeannene M. Przyblyski

Making the News: Modernity & the Mass Press in Nineteenth-Century France (Studies in Print Culture and the History of the Book)

今になって、19世紀の新聞・雑誌メディア関する論文集をみつけた。多くが19世紀前半を扱うなか、おもしろいのが上の論文で、パリ・コミューンにおける戦犯としての女性像の構築を、雑誌や写真などの資料をもとに論じている。ジェンダー論に収まらず、メディアの影響関係が主題になっており、木版挿絵と写真が中心に扱われる。

7月革命をモチーフにした有名なドラクロワの絵画、民衆を率いる自由の女神像は、1871年のパリ・コミューンになると、街を騒乱に陥れる「火と油を手にした口やかましい放火魔の女」としてメディア上に流通していたという。なかなか凄まじい。

議論は、「インデックス的でリアルな」写真と「戯画的でアレゴリカルな」版画の対立に、男性⇔女性の軸が交差した形で展開していく。テーマが近いので示唆に富むが、いつまでも上の二項対立が確固たるものとして保持されてしまっているような印象をうける。