「寓意的手段:現代アートにおけるアプロプリエーションとモンタージュ」の論文紹介。

表題にあるとおり、この論文でブクローは、20世紀美術における、アプロプリエーションとモンタージュという手法を用いた作品を選び出し、それらを通史的に見直すと同時に、その作用と歴史的な変遷をまとめている。ダダのフォトモンタージュに始まり、ポップ・アートからコンセプチュアル・アート、80年代の美術作品に至るまで、ここで取り上げられる作品は幅広いものであるものの、ベンヤミンアレゴリー概念をもとに、それらのイデオロギー的な作用が明白にされている。


こうした美的言説が、モダニズム的に作品自体の諸条件を自己反省的に照射していくのと同時に、逆説的にも、そこには高級芸術に対するポピュラー・カルチャーという対立項が姿を現すようになった。それは、はじめ芸術に相対する他者として現れたが、時代を経て、周知のとおり、二項対立の境界線は済し崩しにされていく。ビルンバウムの作品が、その格好の例となるだろう。
ブクローによれば、彼女の作品は、