友人に誘われて、映画を見にシネマテークへ。La vie aquatique =The Life Aquatic with Steve Zissou (2005、米)というもの。誘われるがまま何の情報も頭になかったが、長蛇の列ができていて、どうやら公開当時のフランスでも評判だったものの再上映らしい。
冒頭から、画面の両側に幕が下りた映画内映画として始まり、それを見る観客たちと対面させられるショットに驚きながら、ドキュメンタリー映画を制作するお馬鹿な船員たちの海上生活へと引き込まれる。内容は、やや下世話なジョークで埋め尽くされたドタバタ喜劇だったが、作りこまれた感じもして笑える。舞台セットやSFパロディの衣装、CG映像までがごちゃ混ぜだが、入れ子式の喜劇という設定のおかげか、それがイヤミもなくさらりとみれた。全員コメディアンの演技をこなすので、やはり中心に一人だけ男前(もっくん程ではない)が配置されるが、あっさりと死んでしまうところで山場を迎える。英語に仏語字幕ですべて理解できてないけど、2005年に「ドキュメンタリー」をテーマに皮肉るとは、マイケル・ムーアや9.11以降のアメリカ映画へのあてつけだろうか。監督のウェス・アンダーソンは、他の作品もおもしろいらしい。挿入歌のほとんどを締めるのが、黒人船員の弾き語りによるデヴィッド・ボウイだった―(音楽)監督のロック好きが丸出しだと、いろいろ想像して複雑な気分になってしまう。

ライフ・アクアティック [DVD]

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