10月16日美学会で発表させてもらう。既に書かれてもいるが、被災地では少しだけ写真洗浄のお手伝いをさせて頂くこともできた。
強烈な臭気に襲われながら、アルバムから写真をひたすら剥がしていく作業。頑丈な古写真や白黒写真に比して、カラーは被写体が同定不可能なほどに溶解してしまう。そもそも断片的なアルバムを解体しながら、そのキャプションや裏側のメモを頼りに物語を不可避に再構築させられることになる。最近、デジタル以降の写真(の扱い)では触れることの少なくなった物質性のようなものを目の当たりにすると同時に、こうして見られることを決して想定してはいなかった表情を浮かべる人々の回顧録を断片的に垣間見てしまうような気分になった。