Maillol美術館で開かれている展覧会、「Vanités―生と死、カラヴァッジオからダミアン・ハーストまで」にいく。http://www.museemaillol.com/
タイトルにあるとおり、骸骨などをモチーフに人生の儚さをテーマとした諸作品を、ポンペイの装飾から古典・近代絵画を経て現代アートの写真・インスタレーションまで、年代を混ぜ込んで首尾よく展示した展覧会。「生」と「死」を強調するキュレーションによって、あまりにも骸骨シバリの作品群が目敏い感じも残るが、個人的には、アジェのカタコンベ写真、Witkinの古写真風に加工した作品、あとは、Cabinet de curiosités(≒驚異の部屋?)の再現と曲面に映し込んで見るアナモルフォーズの展示に目を惹かれる。あとは、チャップマン兄弟やDamien Hurstの最近の作品など、しかし、現代アートとなると、なんともフランスの作家は脆弱な印象、というか、単に少なかった。
現在の関心上、企画展のなかに突然現れたMaillolの彫刻群もおもしろかった。Richerによるローマ・古典・近代の理想的女性の三美神をプリントして、Maillolの古典風彫刻と比較して見る。彫刻群のなかからおなじモデルを特定できるほどにリアルな彫刻であるのは確かだが、括れを除いて皮膚の皺を排除する彼の理想的身体は、肩などに顕著な滑らか過ぎる曲線とテクスチャー、表情などに感じるどこかオリエンタリズムな雰囲気などによって、古典的身体からも微妙に逸脱するような彫刻であったように思う。ただ、三美神となるとよく似ているが・・・ポンピドゥにあるそうなので見に行こう。
  



展覧会の後は、友人が近くの剥製術taxidermie展示即売店に連れて行ってくれた。とんでもない値段だが、剥製の動物から昆虫の標本までが無数に転がっているあまり、無時間的な空間が広がっていて下手な展覧会より面白い。そこで焼失したり水没したりして痛んだ剥製ばかりを集めた写真集に見入る。死んだ生物が蘇らされたものの、その破壊によってなぜかさらに生きているように見える、写真プリントと剥製術との親密さに惹かれる。なんだか生と死を無限に往還したような一日だった。
http://www.deyrolle.com/magazine/
http://www.vertcerise.com/2008/01/23/boutique-etrange-deyrolle-taxidermiste/