今週末は、美術館ラッシュ。
Maillolに続き、Jeu de PaummeのLisette ModelとEsther Shalev-Gerz展、Maison europeene de la photographieでのElliott Erwitt-Philippe Bordas-Sarah Moon-Luc Choquerの写真展にいく。
気づけば、ほとんどの現代作家が、少なくとも一点はビデオ・アートかモンタージュ系の作品に取り組んでいた。なかでも、Esther Shalev-Gerzは、アウシュヴィッツの生存者インタビューをモンタージュして三面に時差をおいて映し出し(2005年)、Bordasは、ケニアのボクサーたちの映像を彼らが残していた写真やアルバムとを長方形のライトボックスで展示している。加えて後者では、セネガルの作家が制作したエピグラフによる百科事典や彼らが残した手形写真など、ポストコロニアリズムを意識した写真群もあったが、その展示会場は、すべての壁面が黒塗りでかなり暗くされた部屋のなか、強烈なコントラストで黒人ばかりを撮影した白黒写真がスポットライトによってまるでライトボックスのように浮かび上がっている、些かオリエンタリズム的(?)な空間であった。
昨日はムンクの絵画展で行列を作ったあと、ルーヴルで彫刻群を観賞する。古代彫刻と19世紀フランス彫刻とを、リシェの彫刻写真を介して比較する。前者に対して、後者が、細部まで丁寧につくり上げられているものの、少しばかり軽く感じるのは、素材とサイズの違いだろうか。いずれにせよ、三美神に、19世紀彫刻に共有されている身体曲線を確認する。オルセーでは、ディディ=ユベルマンが取り上げていた《蛇に刺された女》の生々しいと同時に半ば不可能な姿勢をした「近代的」女性の身体を確認する。最後に、Invalidの軍事博物館にも立ち寄った。銃剣などの展示のみならず、地階の世界大戦にまつわる展示では、ほとんどすべての資料が投影式で近未来SFのような空間を醸し出しており、五面式のスクリーンがモンタージュ的にシャルル・ド・ゴールの伝記を流している映写室もある。廃兵院の荘厳な建物が、ナポレオンの石棺とド・ゴールの希薄な映像群によって支えられていると思うとおもしろい。