19世紀末のフランス実験心理学について調べていると、同時代の写真や映画との結びつきについては、両者の「同時代性」ばかりが根拠とされているような印象をもっていたのだが、やはりそんなことはなく、クレーリーやキットラーの問題設定を実証的に検証するような研究が諸々出てきているようだ。

Mapping the Moving Image: Gesture, Thought and Cinema Circa 1900 (Amsterdam University Press - Film Culture in Transition)

Mapping the Moving Image: Gesture, Thought and Cinema Circa 1900 (Amsterdam University Press - Film Culture in Transition)

初期映画を中心に「映画と身振り」の問題を中心に書かれた一冊。
フーコードゥルーズ的な意味での「地図製作」をすべく、19世紀末の医学/生理学/心理学の言説と実験装置やメリエス映画との関係性を論じた前半部、そこから後半部では、フロイトベルクソンニーチェといった思想史的背景との関連まで論じるとのこと。まだ一部の途中で、ドゥルーズ=ガタリのみならず、キットラーからアガンベンまで取り込んで進められる議論にやや強引さを感じなくもないが、問題設定や着眼点などを共有しつつ読み進める。

似た傾向の著作として、他にも。

Film 1900: Technology, Perception, Culture

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Why the French Love Jerry Lewis: From Cabaret to Early Cinema

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