note

L'âme au corps : arts et sciences 1793-1993 ed. Jean Clair 1993年にGrand-Palaisで開かれた展覧会カタログ。なかなかすごくて、図版よりも論文が中心を占めている。表題どおりに、18世紀から19世紀にかけての芸術と科学の近接性がテーマ。是非、行ってみ…

昨日の論文の続き。 19世紀中頃、断片的に存在した自然・社会科学の正当化と広範な知識の伝達がおこなわれるようになった。制度的・言説的実践の地平において科学的手法が推進され、新たな知の領野の形成が、それが生み出した権力と支配の諸効果と不可分のも…

引き続き、科学史を漁っているのだが、いまひとつ接続点が見当たらない。 どうやら科学史・科学哲学には、内向的方法という態度があって、外的なコンテクストよりも「科学」に内在的な認識論の変遷に注目するらしい。金森さんの議論「概念史から見た生命科学…

“Veins of Resemblance: Photography and Eugenics” - David Green

偶然見つけた、文字通り、優生学と写真の関係についての論文、1985年のThe Oxford ArtJournalに掲載。 85年にどういう文脈で議論を展開しているのかと思ったが、要は、写真的リアリズムを批判するJohn Taggによるコンテクスト重視の写真の意味決定の態度に感…

Le Corp Redressé - Georges Vigallero長いあいだ置いてしまっていたヴィガレロの主著『矯正された身体』。著者は体育学校出身の研究者で、EHESSの先生。フランスでもスポーツ、ジムナスティーク関係の研究はやはり社会学関係が多くなるのだが、そのなかでも…

引き続き、生命科学の歴史。生命科学の近現代史作者: 広野喜幸,林真理,市野川容孝出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2002/10メディア: 単行本 クリック: 3回この商品を含むブログ (6件) を見るカンギレムよりもさらに具体的な生物学・科学史。中村禎里を引き…

『生命科学の歴史 イデオロギーと合理性』ジョルジュ・カンギレム著 杉山吉弘訳 生命科学の歴史―イデオロギーと合理性 (叢書・ウニベルシタス)作者: ジョルジュカンギレム,Georges Canguilhem,杉山吉弘出版社/メーカー: 法政大学出版局発売日: 2006/03メディ…

修士論文を書きながら、前回の研究会を振り返って。 「初期映画研究再考―トム・ガニング「アトラクションの映画」の再検証」 初期映画については、それこそガニングの論文を数本読んだぐらいでほとんど知らないのだが、僕自身、前回のゼミ発表で「ショック」…

ダラダラ呼んでたヒュイッセン、After the Great Devide、序章と1−1。 序章 19世紀以降のモダニティの文化は、良くも悪くも、高級/大衆文化の不安定な関係性によって、悉くその二分法によって、特徴付けられてきたといえる。芸術においては、形を変えな…

"Against Plurarism" - Hal Foster

前日まで、論文要旨のつもりが訳文になってしまった。しかも適当。 ざっとまとめる。フォスターは、1980年代前半の芸術(と建築)における多元主義が生まれた諸条件を分析して、そのイデオロギー性を激しく批判している。 フォスターが80年代までの前史をまと…

フォスター

多元主義というひとつのイデオロギー。 この多元主義自体が、ひとつの立場であり、問題含みであること、 つまり、それが変化させられるよう条件付けられたものであることを明確にしたい。 元来、多元主義とは50、60年代から批判されていたものであもあったが…

ベンヤミン「ドイツ悲劇の根源」 芸術作品 その批評は、ジャンルや形式などの外的な尺度による比較において形成されるべきでなく、内在的に、つまり、効果を犠牲にして内容を外に駆り出す、作品の形式の表現力の発展のうちに形作られる。 根源 こうした規則…

ベンヤミン「生産者としての作家」 文学が時代の生産関係のなかでどうなっているのか、ということを問う。文学の傾向と質=形式と内容における弁証法的な関係、そこで、ベンヤミンは作品生産における作家の技術に着目する。 具体例 ロシア文学―セルゲイ・ト…

マスコミが提示する記号とそれが指定する現実とのズレ、言わばシニフィアンとシニフィエのズレが、作品に顕在化するのでは。 例えば、ピカビアの作品に印象深く現れる肖像写真とサインを見てみたい。一方は、カルト・ド・ヴィジットの出現が先取っていたよう…

October掲載のピカビア論"The Artwork caught by the tail"を読む。 カコジル酸塩をもって、訳の分からん作品解釈を続けるなぁと思ってたら、えらく突然、理論へと入り出した。 ピカビアのTableau dada とは何なのか? 分析を終えて、筆者が取り出したのは、…